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レグ

opening『追うものと追われるもの』　登場：任意

レグ

39+1d10　登場/リザレクト (39+1D10) ＞ 39+7[7] ＞ 46

レグ

レグ

「─────ハァッ……ハァッ……！！」

レグ

夜のビル街の、冷たい路地裏を走る
褐色の短髪に金色の瞳の、肌の浅黒い少年。

レグ

呼吸を荒げながら、顔に汗をぷつぷつと浮かせ
胸を大きく動かしながら、辺りに強く警戒を張るように
目を配りながら、走り、走り、走り続ける。

レグ

「な、何故……！？こうなってしまったのだ……！？」

レグ

─────明かりの多い、表通りに繋がる通りへと
目を見やるも………。

レグ

そこには─────倒れる人々。
ここまで走る中で、何度も何度もその光景を遭遇した。

レグ

誰かに助けを求めようとすると……
得も言われぬ、威圧感が……！そして、普通にしていた
人達が、まるで意識を失ったかのように、倒れていった、という光景を……。

レグ

度し難い……！？一体、何が起こっているというのだ……！？

レグ

分からない……！！全く、分からない………！！！

レグ

ただ分かることは、自分が誰かに助けを求めようとすれば
倒れる人の数が、増えてしまうということだ。

レグ

ゆえにこの少年は─────路地裏を突っ走っていた。
明かりも無いため、姿を晦ませるには実際、丁度良いのだが……。

レグ

「……も、もう……大丈夫か……？」
室外機に己の背を預け、座り込む少年。

レグ

そして……おそるおそると─────走ってきた通りへ、顔を出すと……。

レグ

「─────え？」

レグ

「！？！？！？」
目を大きく見開く。

レグ

な、なんだ、これは……！？僕は、夢でも、見ているのか……！？！？

レグ

「ッッ………！！？」

レグ

咄嗟に避けようと、横へ跳ね飛ぶも─────。

レグ

「ぐッ……………！？」

レグ

血飛沫が、夜の路地裏にて、宙を舞う。
その傘の先は─────レグの腿に、鋭利な切傷を形成した。

レグ

い、痛いッ……！？なんて、度し難いんだ………！？
こ、これは、不覚……！！走ろうにも、痛みが……！

レグ

「ま、待ってくれ……！！」
手を伸ばし、制止しようとし。

レグ

「な、何故だ……！？何故僕のことを……狙う！？
　一体僕が、君に何をしたと言うのだ………！？」

レグ

ハァッ……！ハァッ……！と呼吸を荒げながらも。
なんとか、生きるための道を模索しようと、足掻く。

レグ

ごくりっ……！

レグ

唾を飲み込む、大きな音。

レグ

な、なんだ……！？何を、するつもりだ……！？

レグ

首筋に伝っていく、冷や汗。

レグ

眼前の女性が顔に浮かばせる、不気味な笑みに
レグは、もう既に生きた心地がしなかった。

レグ

「………………え？」

レグ

ぱちりと、瞬きをすれば、もうそこにはいなかった。

レグ

「……な、なん、だ……？逃がしてくれた、のか……？」

レグ

「─────ッッ！！？ぐあああああああああああああああッッッ！！？！？」

レグ

少年の小さな体は、上から振り下ろされた踵落としによって
予測も、抵抗もできないまま、その強い一撃をくらい……。

レグ

メキィィッ……！と、頭蓋骨に鈍い音を走らせながら。
アスファルトの地に、叩きつけられる。
そこには、まるでクレーターのような痕も形成され……。

レグ

「が……はッ……！！！」

レグ

─────常人であれば、"即死"。

レグ

しかし、少年は辛うじて、というべきか
生きていた。
……それは幸か？不幸か？

レグ

死んでしまった方が楽だというくらいに、強い痛みが
レグの脳内に警鐘を鳴り続ける。
一度揺さぶられた脳みそでは、正常な判断も追いつかず。

レグ

ぐわりぐわりと揺れる、市街の路地裏の景気を見ながら。

レグ

「逃げ……なく………ちゃっ……！」
芋虫のように、這いずり、逃げようと─────。

レグ

こ、このまま、では……本当に、殺され……る……！！！

レグ

ぐッッ……動け、ない……！立て、ない………！！

レグ

僕は……ここ、で……死んで、しまうのか………！？

レグ

「……誰……か」

レグ

─────目を、ギュッと閉じる。

レグ

「…………あ、れ……？」

レグ

……次の衝撃は、無かった……そして見上げると─────。

レグ

「……………！！」

レグ

目を大きく見開く。

レグ

そこには─────真っ白な少女が。
僕と、年齢も変わらないくらいの……。

レグ

そして、埃臭いこの路地裏には似つかわしくない程の
……なんて表現すればいいのか。

レグ

「…………天使……？」

レグ

─────"お迎え"が、来たのか……？

レグ

………え？……今、なんて言った……？
ふぁるつ……？………れねげいど……？
……エ、エフェクト……？

レグ

鈍痛に苛まれる中、さらに頭を搔き乱すような
聞いたことの無い単語の羅列。

レグ

「…………！」

レグ

その言葉に、少年はただ、黙って、こくりと頷くしかなかった。

レグ

─────今、自分の命は
この少女によって握られている。
それを理解するには、十分過ぎる程の状況であった。

レグ

「…………！！！」

レグ

ま、また……あの攻撃だ………！？

レグ

まずい、このままでは─────！！！

レグ

「な、なんだ……！？チ、チェーンソー！？！？」

レグ

頭がチェーンソーの形をした男を見て
あんぐりと口を上げ、何度も何度も瞬きを。

レグ

「ど、度し難い！？」

レグ

「…………！？し、知り合い………なのか……！？」

レグ

倒れる少年は、二人の人物の顔を相互に見やる。

レグ

片や天使のような見た目の少女。
片や悪魔のような見た目の青年。

レグ

繋がりが、全く分からなかった。

レグ

ごくりっ……！

レグ

手に汗が滲み出て止まらない。
己がこれまで見てきた常識から外れ続け、気が遠のいてしまいそうな
それでいて、今にもぶつかり合いそうな緊張感の中……。

レグ

「─────！！み、見えない……！？」

レグ

「えっ………？」
………あ、あれ？……僕！？

レグ

「！？」

レグ

─────と思いきや、それは。

レグ

「うわあああああああああああああ！！？！？」

レグ

本物のレグだった。

レグ

「待った待った待ったぁああああああああ！？！？！？」

レグ

「！？！？！！？い、いやいや！？殺そうとしているではないか！？！？」

レグ

「！？！？！？！？！？！？！？！？！？！？！？！？！？！？」

レグ

ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀ。

レグ

「うわあ！？」

レグ

46+1d10　登場/リザレクト (46+1D10) ＞ 46+7[7] ＞ 53

レグ

「………………」

レグ

少年は、あんぐりと開けた口が塞がらなかった。

レグ

「そ、そんなものが、この世界に蔓延って……ど……ど……！」

レグ

「度し難い………！！！」

レグ

頭を抱えるようにしながら。

レグ

そして、己の胸に手を当てる─────。
ここに……"賢者の石"と呼ばれるものがあり。
そしてそれが、裏の世界で、日常を守る者と壊す者、両者が狙い……。

レグ

─────理解が、及びそうにも無かった。

レグ

そんな、頭が困惑に満ち溢れながらも
─────目の前で、天使のような少女と、悪魔……だった青年が
まるで日常会話かのように、話をしており。

レグ

「………き、聞きたいことが、ある」

レグ

「……ドッキリでは、無かったり……？」

レグ

ちらりと、デンジとかなで、両者を見やりながら。

レグ

「─────！！？」

レグ

「こ、これ……は……」
きょろきょろと見渡す、映像を映し出す装置は、どこにもなく。

レグ

そして、少年は思わず─────そーっと、手を伸ばし。

レグ

翼に、触れようとする。

レグ

……！？！？！？　この人も知らなかったのか！？！？

レグ

「……………」
……それは、確かにそうだ……。もしも、本当、ならば……。

レグ

冷や汗を一つ垂らし、ごくりと喉を鳴らしながら。
そーっと、翼を触り……その感触を確かめる。

レグ

「………！！……ど、度し難い……！
　こ、これは……プラスチックでもない……！？」

レグ

─────指に伝わるその感触は、まさしく鳥の翼であった。

レグ

「……あ、あなた達は……一体……！？」

レグ

「……！デンジさんに、かなパイさんか……！」

レグ

ふむふむ！と真剣な表情で頷く。

レグ

「あれ……？違った……？あ、いや……
　パイセンだから、かなでさんの文字を使って……？」

レグ

腕を組み、真剣に考察を始める少年。
どうやらこの少年は、生真面目も生真面目らしい。

レグ

「……あ！も、申し遅れてすまない！僕は……レグだ！
　………ただの、中学生、だ……」

レグ

姿勢を正し、少し緊張した表情で、二人を見る。

レグ

「………重ね重ね、質問をして、申し訳ない……
　……あの戦いが、本当の戦い、だとして……」

レグ

「…………あれでは、命がいくつあっても、足らない！」

レグ

「軍人ならともかく……お二人は、なんというか
　……僕の目には、"普通"に見える！」

レグ

「……どうして、このようなことを……？」

レグ

─────単純に、生真面目なレグにとっては、不可解だった。

レグ

自分の命を救ってくれたことには、感謝しかない。
しかし─────あの場は、少しでも間違えれば
参入した者の命が、あっという間に失われるような……

レグ

それほどにまで、過酷な環境下であったことは
ド素人のレグにも、火を見るよりも明らかであった。

レグ

……自分の命を助けることが。
どうも……。

レグ

二人にとって─────"釣り合っている"気が、しなかった。

レグ

そもそも……自分の命とは、それほどにまで、重要なのか……？

レグ

賢者の石が、貴重だというのは分かったが……。
……そのために、死ぬのか……？
分からない……全く、分からない。

レグ

度し難い……。

レグ

「………え……？」

レグ

「え………あ……」

レグ

─────そうだ、気が付けば……頭の痛みは、大分無くなっていた。

レグ

頭蓋骨に入ったであろうヒビの音。
脳液も漏れ出していたであろうに……。

レグ

─────レグ少年は、正常な状態であった。

レグ

「………残っていないようだ」

レグ

「……説明にあった、オーヴァードの不死性、というものか……？」

レグ

「……いや……度し難い！！」

レグ

「確かに、死ににくい体にはなっている！
　それは、そうなのかもしれない……だが！」

レグ

「─────痛いではないか！？」

レグ

とてもとても、当たり前なことを述べる。

レグ

人が生きていく上で、どうしても避けたいと思うもの。

レグ

"痛み"。

レグ

「痛い思いをしてまで……すること、なのか……！？
　……お二人は、すごく……優しい……
　だからこそ、お二人にここで痛い思いを僕は……！！」

レグ

─────レグ少年は、己の記憶がほとんど無かった。
だからこそ、自分という存在に、少しばかりの不安さを感じており。
そして……自己肯定感もまた、低かった。

レグ

こんな自分の命を救ってくれた二人だからこそ。

レグ

……これ以上、自分如きのために、"痛み"を背負う必要は無い。

レグ

"痛み"とは、生きとし生けるものが
長く生きるために、それ以上向かうなと、警告を出すために
脳から発せられる信号なのだ。

レグ

それにどうして、抗うのか？
度し難い。

レグ

「─────！」

レグ

大きく目を開いて、固まった。
まるで、故障した機械のように。

レグ

「………………」

レグ

─────非合理的……。でも、そこには、確実に存在した。

レグ

二人の、強い"意志"が。

レグ

冷たい夜の市街地の中で燃える、"情熱"が。

レグ

「…………………すごい………」
思わず、ぽつりとそう溢してしまった。

レグ

「………！！！」

レグ

その言葉に、辺りを見渡す。
そうだ─────あの女の人は、姿が見えない！

レグ

「……お、覚えている……！気が付くと、いつの間にか
　後ろに立っている……！」

レグ

警戒するように、そして怯えるように、そう答える。

レグ

「わっ……！」

レグ

手渡された地図を見て。

レグ

「え……ここが……！？」
そこは、あまり聞いたことの無い株式会社が
中で多く拠点を構える、何の変哲も無いビルで。

レグ

………な、なるほど……レネゲイドの秘匿とは
ここまで徹底されて……度し難い……！

レグ

そして、かなでの言葉に、こくりと頷く。

レグ

「………わ、わかった！僕も……二人に
　これ以上迷惑は、かけたくない……！！」

レグ

立ち上がり、そしてかなでとデンジの後ろに着く。

レグ

「─────え？」

レグ

三人目の、声？でも、女の人じゃな─────。

レグ

「─────いッッッ……！！？！？」

レグ

その風圧に、レグの短髪に服が、大きく揺らめく。

レグ

腕をクロスにし、なんとか地面に踏ん張りながら。

レグ

「な、なん、だ……これ、はッッッッ…………！？！？！？」

レグ

き、規格外………！？あ、圧倒的過ぎる………！？

レグ

けたたましい轟音が、町中で鳴り響く。

レグ

「な……な……！！！」

レグ

「なんだ、お前は………！？！？」

レグ

ハァッ……！ハァッ……！ハァッ……！
呼吸が、荒げていく。

レグ

その男を見るだけで、体が震える。
─────本能が、告げている。

レグ

あともう数センチ近づいてみろ。
自分は、死ぬぞ。と……。

レグ

「─────ッッッ……！？」

レグ

同、じ………？こんな、こんな……！
街を……街に住む、何も知らない人々の命も……
簡単に、消し飛ばしてしまうくらいの、怪物と……。
……僕が、同じ─────？

レグ

レグは、ショックを受けていた。
─────かなで達に説明は、されていた。
自分の体はもう、人間のそれではない、と。

レグ

実際、先程襲われた際も、人智を越した戦闘が行われた。
しかし……しかし！今回ばかりは、あまりにも、大きすぎるではないか……！？

レグ

「……！！！デ、デンジさん……！！」

レグ

レグ

53+1d10　登場/リザレクト (53+1D10) ＞ 53+4[4] ＞ 57

レグ

57+10d10　ジェネシフト (57+10D10) ＞ 57+52[3,6,4,9,6,1,2,5,10,6] ＞ 109

レグ

レグ

デンジ、そしてかなでの尽力により─────。

レグ

「はぁッ……！はぁッ……！！」

レグ

滝のような汗を流しながら、少年は地図に示された支部へと
真っ直ぐ、真っ直ぐと向かって行った。

レグ

殿(しんがり)を務めてくれた、二人の……
この、裏世界における"プロ"の仕事により、レグはというと
後ろで怒号が鳴り響くのを聞こえる程度で、肉体への損傷は
この道中では、存在しなかった。

レグ

このまま、真っ直ぐ突っ走れば、目的地へと辿り着き
そして、"自分"の身の安全は、確保される。

レグ

………そう。

レグ

"自分"の身は。

レグ

「……………………」

レグ

─────それで、果たして……いい、のか……？

レグ

……普段街で見かけてもおかしくないような、普通の見た目の二人が
あんなにも、命を削ってまで戦い抜いて……。

レグ

……守りたいものを守るために戦う。
……体が、震え上がる程の、高ぶる何かを感じたレグであったが。

レグ

それに甘えて……果たして、いいのか？

レグ

"自分"の身だけ助かったとして。

レグ

─────今も後方で鳴り止まない、あの轟音の中。
二人が……もしも、その命を落としてしまえば………？

レグ

確かに二人は、とても強かった。
でも……鎌を持った男も、強い。
強いなんていうレベルじゃ、無い。

レグ

…………………。

レグ

……僕はこの先、"普通"に生きていけるのか？
あの二人の命を背負って……。

レグ

ふと、レグの脳裏に浮かぶ言葉。

レグ

「……………………」

レグ

僕にも……戦える力が、ある………というのなら……？

レグ

この、嫌悪すべき力があるというのに
それを使わずに逃げて、後悔するよりは─────。

レグ

「…………」

レグ

─────レグの走りに、澱みが見え始める。

レグ

精神の揺らぎは、肉体へと影響を及ぼす。

レグ

やがてそれは─────"隙"と化す。

レグ

「─────っ！！？」

レグ

キキィッ！と足を止めようとするも。

レグ

─────その先端は。

レグ

レグの、喉元に……。

レグ

ま、まずいッッッ………！？

レグ

「ぐ、はァッ………！？」

レグ

鮮血が、口から飛び出る。

レグ

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いッッッッ…………！！！！！！！！！！

レグ

があああああああああああああああああああああ！！！！

レグ

た、耐えられないッッ！こんな、呼吸も、難しッ……！！！！

レグ